漢方ビュー通信

現代社会を元気に生き抜くために、デトックスの意識を!

コスパ(コストパフォーマンス)に続き、タイパ(タイムパフォーマンス)という言葉も広く使われるようになり、効率重視の考えが一般的になってきた昨今──、考え方や価値観は昔と変わり、文明の発展とともに、以前では想像もつかなかった豊かな生活が現実となりました。

ですが、その代償として生じたのが「化学物質」。
私たちのホルモンバランスをはじめ、免疫系や神経系に、いつの間にか影響を与え、不調を感じさせる要因のひとつになっていると考えられています。

そこで、今回は薬剤師である筆者が、内分泌かく乱物質(環境ホルモン)とデトックスについて解説します。

ホルモンと環境ホルモンの違いとは

一般的に、私たちが認知しているホルモンとは、内分泌腺で生成され、わずかな量でカラダの生理機能を調整する化学物質のことです。
分泌されたホルモンは、作用が必要な遠く離れた標的器官まで血液を通じて運ばれます。そこで、ホルモンは特定の受容体に結合し、指令が伝えられます。目的を果たした後、ホルモンは分解されます。
代表的なホルモンには、インスリンや甲状腺ホルモン、エストロゲン、テストステロンなどがあります。

次に、日常生活の中で、ホルモンと同じような作用をする「内分泌かく乱物質」と呼ばれるものがあり、これらが体内に侵入すると、ホメオスタシス(恒常性)が乱れることがあります。このような物質を、環境の中にあるホルモンのような物質ということで、「環境ホルモン」と呼びます。
ちなみに、環境ホルモンは至るところに存在しているため、経口摂取や経皮吸収、呼吸などさまざまな経路で体内に侵入してきます。

環境ホルモンはどのような影響を及ぼす?

先述したように、環境ホルモンはホルモンと似た働きをするため、ホルモンの正常な働きを妨げることがあります。
例えば、ホルモンが結合すべき場所に環境ホルモンが結合し、指令が過剰に発生したり、必要な指令が不足したり、ホルモンの分泌が不安定になったりすることで、内分泌系の乱れが生じる可能性があるのです

環境ホルモンは、体内で分解されにくく、とくにエストロゲン優勢状態の原因となってしまうこともあります。その他に現れる症状として、代謝疾患や不妊、がん、体重増加などがあります。
代表的な環境ホルモンとして、ダイオキシンやPCB(ポリ塩化ビフェニル)などが挙げられます。

常にデトックスできるカラダを整える

私たちの身の回りには、次に示すような毒性のあるものが多く存在しています。

体外の毒素の例

ダイオキシン、PCB(ポリ塩化ビフェニル)、残留農薬、排気ガス、たばこなど

体内の毒素の例

ウイルス、細菌など

 

このように、さまざまな化学物質や毒素に囲まれ生活している現代人は、常にデトックスする意識を持ち、カラダの中から毒素や老廃物を取り除いて健康になることを心がけましょう。

私たちの有害物質の排出経路は、75%が便(胆汁)、20%が尿、3%が髪の毛、1%が爪といわれています。
そのため、最大の解毒作用を持つ臓器、肝臓のケアは非常に大切です。
有害物質は、肝臓で解毒され胆汁として排泄され、その95%は肝臓と腸の間をくるくると巡ります。肝臓と腸の状態をベストな状態にキープすることが質の高いデトックスにつながるのです。

どの時代もメリットとデメリットが存在します。現代のメリットとデメリットを理解し、最善の状態を保てるよう、体調管理に努めましょう。

ご存じですか?

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ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

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https://www.kampo-view.com/clinic
Nov 29 2023

薬剤師・大久保 愛

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