漢方ビュー通信

更年期実態調査〜更年期を自覚する男女の85%が「隠れ我慢」(前編)

通勤途中で具合が悪くなる…原因は更年期?

先日のこと。友人の50代の女性から「会社に向かう途中、具合が悪くなって立っていられなくなり、家に戻った」という話を聞きました。
彼女は「更年期がひどい」と悩んでいたので、その影響なのかもしれませんが、実際、更年期の症状で困っている人は多いのではないでしょうか。そこで、そんな更年期の実態について、株式会社ツムラが実施した実態調査をお伝えします。

対象者は20代から60代の男女600人で、調査はインターネットにより実施。回答期間は2023年9月12日~14日で、10月18日の「世界メノポーズデー(※1)」にあわせて結果が紹介されました。

※1…メノポーズ(Menopause)とは閉経のこと

更年期の不調で最もつらいのは「疲れやすさ」

まず、現在、更年期症状を自覚する40~60代の男女それぞれ100人に聞いた「更年期症状『隠れ我慢』の実態」をみると、こうした男女のなんと85%が、心身の不調を我慢して、いつも通りに仕事や家事をこなす「隠れ我慢」(※2)を経験していることがわかりました。

なかでも、男女とも3人に1人が「頻繁にある」と答えています。
また、その「隠れ我慢」をする不調の中身をみると、男女とも「疲れ」がもっとも多くなりました(男性57.0%、女性55.8%)。
2位以下は男女で異なり、男性では「集中力・記憶力の低下(40.0%)」「イライラ(37.0%)」「発汗やほてり(29.0%)」「不眠(29.0%)」、女性は「肩こり(40.0%)」「気分の落ち込み(36.8%)」「発汗(35.8%)」と続きます。

※2…「隠れ我慢」とは、心身の不調を我慢していつも通りに仕事や家事を行うこととツムラが定義

なぜ我慢してしまう?その理由を聞くと…

では、なぜこうした症状を我慢してしまうのでしょうか。更年期症状で「隠れ我慢」をしていると答えた男女にその理由を聞きました。
すると、「休むと仕事・家事に支障が出る」がもっとも多く、男性の65.0%、女性の64.2%に上りました。さらに、「仕事や家事など周りに負担をかけたくない」が男性45.0%、女性が42.1%でした。いずれも周囲の人たちへの配慮や影響があって、不調があるにもかかわらず我慢してしるというのが実情でした。

そして、気になるのは「我慢できると思っている」人が男性の34.0%、女性の30.5%いるという点です。
「どのような対処法があるのかわからない」(男性に多く、32.0%)、「周りに相談したとしてもわかってもらえない気がする」(女性に多く、31.6%)などの理由で、我慢できると考えている人が多いのかもしれません。

「社会も正しく認識することが肝心」と専門家

こうした更年期の「隠れ我慢」について、産婦人科医の丸山綾医師(霞が関ビル診療所)は、次のようにコメントしています。

「病気でないから休んではいけないと、むち打って我慢するケースもあれば、休みたくても環境がそれを許さず、『隠れ我慢』せざるを得ないというケースもある。いずれにしても改善すべきで、そのためには更年期症状も、生活に支障をきたせば病気であることを、個人も社会も正しく認識することが肝心」

一方、男性の更年期について、日本で初めてメンズヘルス外来を開設した泌尿器科医の堀江重郎医師(順天堂大学医学部教授)も次のようにコメントします。

「『疲れやすい』『集中力・記憶力の低下』『イライラ』は典型的な男性の更年期症状で、よほど大きな変化がない限り、自然に解消することはない。男性は重症になるまで医療機関を受診しない傾向が強いが、症状を放置することでウェルビーイング(心身の社会的健康)を損なうこともある。しかし、これらの症状は医療機関を受診し、専門医の治療やカウンセリングを受けることで、短期間に改善することもある」

男女ともに、いつの間にか気づかないうちに「隠れ我慢」をしている人は多いように思います。無理をせず、自分に起こっている症状と向き合うことが大事なのではないでしょうか。
次回、後編に続きます。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Jan 31 2024

医療ライター・山内

関連コンテンツ