漢方ビュー通信

更年期実態調査〜更年期を自覚する男女の85%が「隠れ我慢」(後編)

更年期の症状を改善するために

前回、紹介した更年期の症状で悩んでいる友人の話、その続きがあります。 彼女がまず心がけたのは、「カラダを動かす」ことでした。体調が悪いときは休んで、できるときに少しずつ運動をしていったそうです。 その結果、少しずつ症状が改善していったとのことです。 彼女のように、更年期の不調で悩んでいる人のなかには、何かしら対策をとっている人も少なくないでしょう。

そこで前回に続き、更年期の実態について、ツムラが実施した実態調査の続きをお伝えします。 対象者は20代から60代の男女600人で、調査はインターネットにより実施。回答期間は2023年9月12日~14日で、10月18日の「世界メノポーズデー※」にあわせて結果が紹介されました。

※…メノポーズ(Menopause)とは閉経のこと

男女で異なる、更年期症状への対処

現在、あるいは過去に更年期症状を自覚した、40~60代の男女それぞれ400人に「更年期症状への対処」の有無を聞いたところ、「対処した」と答えたのは、男性が33.5%、女性が41.0%でした。 その内容は、男性は「休息・睡眠時間を増やす(49.3%)」、「食事や運動などを工夫(47.8%)」と続き、女性は「病院を受診(58.5%)」、「サプリメントを摂取(37.8%)」でした。男女で比べると、女性のほうが積極的に対策をとっている印象があります。

また、更年期症状を自覚しながらも「対処していない」という13人に理由を聞くと、男女とも「この程度であれば、我慢できると思った」が最多で、ここでも「隠れ我慢」(更年期実態調査〜更年期を自覚する男女の85%が「隠れ我慢」(前編))の実態が鮮明に出ています。

多くの人が「更年期症状に対する知識を得ておきたい」

最後に、更年期症状を自覚する人・しない人(20~60代)男女各600人に「更年期症状への認識」について聞きました。 その結果、男性は「更年期症状は日常生活・社会生活に支障をきたすと思う(70.3%)」、「更年期症状があると、仕事やプライベートで諦めなければいけないことが出てくる(63.7%)」、「更年期症状をこれから抱えることに不安を感じる(62.0%)」が目立ちました。

女性も同様で、「更年期症状は日常生活・社会生活に支障をきたすと思う(79.2%)」がトップ、そのあとは順序が逆転し「更年期症状をこれから抱えることに不安を感じる(67.2%)」、「更年期症状があると、仕事やプライベートで諦めなければいけないことが出てくる(63.0%)」という順になりました。

今回の調査では、男性の約7割、女性の約8割が「更年期症状に対する知識を得ておきたい」と答えています。更年期や更年期症状について正しい知識を得るためにも、社会の役割は大きいと考えます。

「症状に気付いてすぐに病院を受診する人は少ない」と専門家

最後に、更年期に詳しい2人の医師のコメントを紹介します。

「更年期症状はホルモン分泌に関係しているが、特に男性では社会活動による影響も大きいため、すべての男性が更年期症状を経験するわけではない。今回の調査では、更年期症状の向き合い方に男女差が見られた。社会的に認知され情報も多い女性の更年期症状に対し、男性の更年期症状は社会的認知が低く、自身の症状が更年期症状かどうかを気付けていないのが現状だ。 (中略)これからの企業には、『仕事を休めない』『同僚に迷惑をかける』という理由から我慢しがちになっている更年期症状への対策に取り組むことが求められる」(堀江重郎医師/順天堂大学医学部教授)

「ひと昔前と比べれば、更年期症状を病気として認識し、治療対象になることが認知されたようには思う。しかし、症状に気付いてすぐに受診する人は少なく、市販薬などを試してみたものの効果がなく、最後の砦として医療機関を受診されるようで、『もっと早く受診すればよかった』という声は非常に多い。症状の程度によっては、サプリメントなどで効果が得られることもあるが、目安として1カ月間試して効果が感じられなければ、医療機関を受診してほしい」(丸山綾医師/霞が関ビル診療所)

更年期の症状と上手に付き合っていくために、まずはどういった症状でどういった対処が必要で効果的なのか、その中で自分の体質なども含めて総合的に判断することが大事です。 かかりつけ医などに相談して、自分に合った対策を導いてもらうと安心ですね。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Feb 7 2024

医療ライター・山内

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