漢方ビュー通信

20代でも発症する?糖尿病について

糖尿病」は広く知られた疾患ですが、自分には関係ないと思っている人も多いのではないでしょうか。糖尿病は、近年の生活習慣や環境変化に伴って、急増している身近な病気のひとつであり、今までは中高年に多い疾患とされていましたが、20代以上で、「糖尿病が強く疑われる者」の割合、「糖尿病の可能性を否定できない者」の推計人数は2000万人と、かなりの数が見られます。 (厚生労働省 平成28年 国民健康・栄養調査結果の概要より)

糖尿病はそのまま放置していると、合併症を引き起こすリスクも高まり、QOL(生活の質)を著しく低下させてしまいます。他人事として考えずに、糖尿病に対しての理解を深め、健康管理を行うことが求められます。

そこで、今回は薬剤師である筆者が、代表的な生活習慣病のひとつである糖尿病について解説します。

糖尿病の基本と自覚症状について

ブドウ糖やでんぷん、オリゴ糖といった糖質は、カラダを動かすための大事なエネルギー源です。 私たちのカラダの血液中には、ブドウ糖が流れていますが、多過ぎず少な過ぎずコントロールするようバランスをとっています。 このコントロールを司っているのが、膵臓から分泌されるインスリンです。 インスリンは、血中の糖が多くなると細胞に糖をしまい込むように作用し、血液中の糖の濃度を調整してくれますが、この作用がうまく働かないときは、糖を細胞にしまい込めなくなるため、血中の糖の量が増えてしまいます。この状態が糖尿病です。

糖尿病の自覚症状としては、喉が渇きやすくなったり、よく水を飲むようになったり、トイレの回数が増えたり、体重が減ったり、疲れやすくなるといったものがありますが、自覚症状に気が付かず、健康診断で判明したり、網膜症や腎症、神経障害などの合併症がおこった時点で気付くケースもあります。

自己免疫が関係する1型糖尿病

糖尿病は、大きく4つのタイプに分類されます。そのなかで、主なものは1型糖尿病2型糖尿病です。今回は、1型と2型についてそれぞれ詳しく解説します。

まずは、糖尿病患者の約5%といわれている1型糖尿病です。 1型糖尿病は、生活習慣とは関係なく、幅広い世代で発症し、自己免疫が関係していると考えられています。具体的には、膵臓のインスリンを出す細胞(β細胞)が壊されてしまう病気になります。1型糖尿病と診断された場合は、治療にはインスリン製剤を使います。 また、β細胞の破壊は進行性であり、その進行スピードからさらに3つに分類されます。

1つ目が「劇症1型糖尿病」で、発症後1週間程度でインスリンの補充をしなければならない状態になり、急激に進行するタイプになります。 2つ目が、もっとも典型的なタイプである「急性発症1型糖尿病」です。糖尿の症状が出てから数カ月かけてインスリン補充が必要になります。 3つ目が「緩徐進行1型糖尿病」で、半年から数年かけてゆっくり進行していくタイプです。次に説明する2型糖尿病のようにインスリンを使わずに内服薬で血糖値をコントロールすることができますが、膵臓に負担がかかるため、インスリン治療が望ましいとされています。

一般的な糖尿病とされる2型糖尿病

一般的に「糖尿病」といえば、最も多いタイプの2型糖尿病を指すことが多いです。 2型糖尿病は、遺伝的な要因もありますが、生活習慣(食べ過ぎ、運動不足、肥満傾向など)が大きく影響するとされているため、基本的に中高年に多い傾向があります。ですが、冒頭でもお伝えしたように、近年では20代の人にもみられるので注意が必要です。

発症のタイミングは、インスリンの分泌低下や、インスリンの抵抗性が生じたときです。食事や適度な運動、睡眠、ストレスの解消といった基本的な生活習慣の見直しをしつつ、内服薬やインスリンで血糖値をコントロールして対処します。ですが、治療にインスリンを必要としないケースもありますので、専門の医師と相談しながら治療方針を決めていくとよいでしょう。

運動不足、不健康な食事などさまざまな要因が糖尿病へつながると考えられています。 このような生活習慣病の対策や改善には、まさに“習慣”の見直しが必須です。習慣を変えることができるのは、自分しかいません。自分の健康は自分で守る意識を常に持って生活していきましょう。

参照

厚生労働省 平成28年 国民健康・栄養調査結果の概要
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/kekkagaiyou_7.pdf

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ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

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Mar 13 2024

薬剤師・大久保 愛

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