漢方ビュー通信

細胞レベルからの美肌対策と漢方薬の活用

その肌トラブル、放置していませんか?
私たちのカラダは約37兆個の細胞から成っていて、その一つひとつに細胞膜が存在します。この細胞膜は、その名の通り細胞を包む膜ですが、細胞内部の状態の維持、そして炎症反応や脳機能にも関与しています。
そのため、細胞膜の構成要素のひとつ“脂質”の摂取方法が、美肌や健康管理にとって重要だとされています。

そこで、今回は薬剤師である筆者が、肌トラブルについて、細胞レベルの観点から解説します。

細胞への影響が老化と病気につながっている

私たちのカラダを構成する約37兆個の細胞のうち、約7割は赤血球といわれています。
赤血球の寿命は約120日とされており、体質改善のために3〜4か月の期間を要する理由のひとつになります。

その細胞を構成する主な要素として、タンパク質の設計図となる核、カラダを動かすためのエネルギーを作り出すミトコンドリア、タンパク質を生成しその貯蔵にも働く小胞体、そして細胞膜があります。
私たちが老化や病気について悩むときには、この細胞が酸化したり、糖化したり、炎症しているとされています。

細胞膜から考える炎症と美肌について

細胞膜はリン脂質という脂質から成り、リン脂質は脂肪酸から構成されています。
脂肪酸には、飽和脂肪酸不飽和脂肪酸があり、不飽和脂肪酸の比率が高いと、細胞膜の流動性が増し、柔軟性が向上します。これにより、細胞膜は効果的に機能し、細胞が適切に栄養を吸収したり、毒素を排出したりすることができます。
不飽和脂肪酸は、刺激によって一部が分解され、炎症を引き起こす反応が起こります。EPAなどのオメガ3脂肪酸は抗炎症作用がありますが、アラキドン酸などのオメガ6脂肪酸は炎症を促進します。

つまり、この細胞膜の組成が炎症体質に影響を与えるので、食事として取り入れる脂質の種類なども美肌の維持のためには、必要な見直しの要素といえるのです。

肌トラブルにおすすめの漢方薬

肌にかゆみや赤み、湿疹、化膿などの炎症反応がみられたときは、抗生剤やステロイドなどで対処することが多いですが、場合によっては漢方薬が有効なこともあります。
また、漢方薬は治癒力を高める目的として使われるものも多いので、効果的な場合もあります。

漢方

例えば、おすすめの漢方薬として、肌の状態に合わせて、「温清飲(うんせいいん)」や「消風散(しょうふうさん)」、「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」、「排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)」、「十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)」などがあります。
ですが、個々の体質や体調によって処方される漢方薬が異なりますので、専門の医師や薬剤師に相談して、自分に合った処方をしてもらうと安心です。

肌トラブルを感じたときは、いつも食べている油(脂質)の見直しに加え、漢方薬での対策も同時に行っていくことで効率よく対策できると思います。不摂生や女性に多い月経に伴う肌トラブルなど、炎症対策をして根本的な対策をとっていけるようにしていきましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Apr 2 2024

薬剤師・大久保 愛

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