“病は気から!”その体調不良を悪化させないために
嫌な出来事や不安、緊張などがあると、お腹が痛くなり下痢気味になる経験は多くの人が持っているでしょう。また、旅行に出かけると便秘になるという経験も…。
これらの現象は、腸と自律神経が相互に情報をやり取りしているためです。そのため、腸内環境が乱れると自律神経に影響し、逆に自律神経が乱れると腸の調子が悪くなることがあります。
さらに、両者の乱れは免疫機能の低下にもつながることがあります。
そこで今回は、薬剤師である筆者が、脳と腸、免疫の関係について解説します。
腸と自律神経の関係
ストレスがあると、一般的に腸内環境が悪化する傾向があります。
これは、ストレスがかかると交感神経が優位になり、自律神経のバランスが乱れるためです。その結果、腸の蠕動運動が停止し、消化吸収の機能に問題が生じる可能性があるとされています。
免疫機能と自律神経の関係
腸は免疫機能の大部分を担っており、約7割の免疫機能がそこに存在するといわれています。
そのため、自律神経が乱れると腸内環境も乱れ、免疫機能にも影響を及ぼします。
カラダの防御反応を担う白血球の中でも、「顆粒球」と「リンパ球」のバランスは自律神経によって制御されています。ちなみに、免疫機能が正常な場合、白血球全体のうち顆粒球が54%から60%、リンパ球が35%から41%の割合を占めます。このバランスが崩れると、病気のリスクが高まるとされています。
また、交感神経が優位な状態ではアドレナリンが放出されます。すると、顆粒球が増え、細菌感染や寄生虫などの病原体との戦闘力が向上します。逆に、副交感神経が優位な状態ではアセチルコリンが放出されます。その場合は、リンパ球が増え、ウイルスなどとの戦闘力が高まります。さらに、ストレスが多い状況では、粘膜免疫であるIgAの減少も見られます。
したがって、自律神経の乱れは、腸、白血球の状態、そしてIgAを通じて免疫機能を低下させることにつながってしまいます。
体調不良がさらに悪化する前にしてほしいこと
私たちのカラダは、ストレスがかかると、ストレス発散や面倒なことを先延ばしにしてしまうことで、生活のリズム(食事や睡眠時間)が乱れてしまうことがあります。
この場合、交感神経が優位になり、腸の運動がストップすることに加えて、食事や睡眠の乱れによって腸内環境がさらに悪化します。この結果、免疫機能が低下したり、腸から毒素が体内に取り込まれたり、解毒機能を担う肝臓に負担がかかったり、脳や肌の状態にも影響が及ぶ可能性があるのです。
“病は気から”という言葉がありますが、ストレスが増えるとネガティブな感情が増大し、体調不良に拍車をかける傾向にあります。
そのような場合は、生活リズムを整えると同時に、漢方薬を試してみることもオススメします。
怒りや悲しみ、不安や焦燥感など、ココロの状態は多岐にわたりますが、漢方薬はその細かな感情の変化や状況に対応することができます。
個々の体質や肌質に合ったさまざまな処方がありますので、体調不良が悪化する前に、ストレスの根本原因を探って、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談してみましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛