生理前のツライ症状の原因と対処法
多くの女性が感じている、生理(月経)前のツライ症状。
例えば、些細なことでイライラしたり、つい食べ過ぎたり…さらには、肌にブツブツや吹き出物など…。
このように、生理(月経)前に現れるカラダやココロの不調を「PMS(月経前症候群)」と言いますが、月に一度やってくるこの症状に悩んでいる女性は多いと思います。
今回は薬剤師である筆者が、このツライ症状の原因と対処法をご紹介します。
生理前に不調がでる理由
生理前の不調は、ホルモンの変動が引き起こすといわれ、主に3つの分泌物の変化が影響を与えると考えられています。
(1)黄体ホルモンの増加
黄体ホルモンには食欲を増進したり、水分や油分、養分を体に溜め込んだりする働きがあります。生理前にこのホルモンが増加すると、過食やむくみ、にきびなどができやすくなったりします。
(2)卵胞ホルモンが減少
卵胞ホルモンには、自律神経を整える働きがあります。そのため、生理前に減少することで、些細なことにイライラしてしまったり、気分が落ち込んでしまったりすることがあります。
(3)プロスタグランジンのバランスが変化
プロスタグランジン(※)は生理のとき、子宮の収縮を促して経血をスムーズに体外に出す役割があります。その一方で、痛みを感じやすくさせる作用と炎症を引き起こす作用があります。
生理前にプロスタグランジンの分泌が多くなり、過剰分泌されることで、腹痛や頭痛、めまい、だるさ、吐き気などの原因になります。
ただし腹痛は、子宮内膜症など様々な病気の可能性もありますので、気になる人は婦人科を受診してください。
※プロスタグランジン…不飽和脂肪酸(アラキドン酸)から生成される生理活性物質。人間の体内の様々な組織や器官に存在し、生体機能の調整などホルモンに似た働きをする物質。
生理前の症状の改善策3つ
(1)イライラ対策
糖質の摂取をなるべく控えましょう。
「生理前は甘いものやジャンクフードを無性に食べたくなる」という人が多いですが、これらを食べることで血糖値が上昇してしまいます。急激に血糖値が上昇すると、今度はそれを下げようとしてインスリンを大量に分泌します。
この血糖値の乱高下が、イライラや不安などの症状を促す要因の一つです。
そこで、“硬い食べ物”がおすすめです。じつは、咀嚼(そしゃく)には、ストレスを軽減する効果があると考えられています。栄養も豊富な、煮干しや昆布や大豆などの乾物がおすすめです。
(2)過食対策
食物繊維やカリウムを含む食材を意識して食べましょう。
食べたい気持ちを急に抑えることは難しいもの。せっかく食べるのであれば、腸内環境を整えてくれる食物繊維や、むくみを解消するカリウムを多く含むものをおすすめします。
(3)肌荒れ対策
脂質や糖質を多く含むものを減らし、発酵食品を増やしましょう。
脂質の多い食材は、皮脂の分泌を増加させることがあります。また、糖質は炎症を起こしやすくするので、肌荒れが気になるときはNG。
腸の状態が悪いときも肌荒れを招くことがあるので、ぬか漬けや納豆などの発酵食品で腸内環境を整えて。
セルフケアで改善できることもたくさんあります。毎月、生理前にツライ思いをしている人は、ぜひ試してみてくださいね。
薬剤師・大久保 愛