漢方ビュー通信

20~30代に急増!子宮頸がんから身を守るには?

20~30代に急増!子宮頸がんから身を守るには?

罹患率が15~20年でほぼ倍に

女優・タレントの原千晶さんや向井亜紀さんなどが患った子宮頸がん。
子宮の入り口(頸部)にできるがんで、年間約1万人の女性が罹患しています。

じつはこの子宮頸がん、若い女性に急増していることをご存知でしょうか。

下のグラフは、国立がん研究センターの情報ですが、20~30代の女性の子宮頸がん罹患率は、15~20年の間にほぼ倍(左)。40代以上の罹患率がほぼ変わらないのと対照的です。

子宮頸部 部位別罹患率(全国推計値)年次推移

※罹患率…一定期間に発生した特定の疾病の新患者数の、その疾病にかかる危険にさらされた人口に対する比率

子宮頸がんの罹患と出産年齢のピークが重なる

子宮頸がんの罹患と出産年齢のピークが重なる

子宮頸がんが問題なのは、がんを患った女性の健康や命だけではなく、新しい命を育む可能性を奪ってしまうということ。

事実、厚生労働省の報告では、子宮頸がんにかかる年齢のピークと、出産年齢のピークがほぼ一緒であることが明らかに。この背景には、女性の出産年齢の高齢化と、子宮頸がん年齢の低年齢化が挙げられます。

また、日本産婦人科学会研修施設と全国がん(成人病)センター協議会加盟施設の調査では、妊娠時に見つかるがんで最も多いのが、子宮頸がんであることも分かりました。

妊娠とがん切除、どちらを優先させるかは、がんの進行状況やおなかの赤ちゃんの生育状況にもよりますが、多くは赤ちゃんを断念するという決断を迫られます。
また、妊娠していなくても、がん手術によって子宮を摘出してしまえば妊娠は諦めなければならず、子宮を温存する手術でも流産や早産のリスクが高くなります。

20歳になったら2年に1度はがん検診

このように女性にとって子宮頸がんは、さまざまな意味で深刻。

ですが、幸いなことに予防が可能ながんの一つです。
子宮頸がんは「前がん状態 ※」を経てがん化するため、子宮がん検診を受けることで、がんになる前の状態で発見できます。

前がん状態からがんになるまでおよそ2~3年かかるため、20歳になったら2年に1回は、しっかり検診を受けることが大切です。

ただ、残念ながら、がん検診だけでは予防は完全ではありません。
前がん状態で見つかった場合、命には関わりにくいですが、多くは子宮を温存する手術をすることになり、やはり流産や早産のリスクは高まります。

そうなると、がんにかからないことが大事になりますが、そこでもう一度考えてみたいのが、「HPVワクチン接種」です。

※がんになる確率が比較的高い病的状態

もう一つの予防手段“HPVワクチン”のいま

もう一つの予防手段“HPVワクチン”のいま

子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染が関係しているがんの一つ。

HPVは性交渉などで感染するウイルスで、子宮頸がんのほか、肛門がん陰茎がん咽頭がんなどの発症にも関わっているとされています。

こうしたHPVが関わるがんを予防するため、日本では、厚生労働省が2011年にワクチンを承認。ただし、副反応への危惧から2013年以降、積極的な摂取を勧めていません。

それから5年あまり経ち、最近ではワクチン接種によってがん(子宮頸部上皮内腫瘍)の発生率が減少した報告や、副反応とワクチン接種とに関連性が見い出されなかったという報告などが出ています。

ワクチン接種については、こうしたデータも踏まえて、一人ひとりが冷静に判断する必要が出てきています。

参照

国立がん研究センター がん情報サービス
https://ganjoho.jp/public/index.html

厚生労働省 ヒトパピローマウイルス感染症
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou28/

Apr 27 2018

医療ライター・山内

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