漢方ビュー通信

手で覆っちゃダメ?インフルエンザ、意外な感染ルート

手で覆っちゃダメ?インフルエンザ、意外な感染ルート

今年の流行は少しスロースタート?

毎年、この時期になると気になるのが、インフルエンザの流行ではないでしょうか。
厚生労働省の発表によると11月11日までの感染者数は2588人。
流行の傾向は年によって異なり、2016~17年と17~18年シーズンでは流行の始まりは11月下旬と少し早め。これに対して、15~16年シーズンは少し遅く、1月上旬になって流行が始まりました。
夏にはインフルエンザで学級閉鎖をした小中学校もありましたが、この冬から始まる今シーズンに関しては、過去の様子と比較してもまだ流行という感じはありません。
(ちなみに、沖縄はすでにインフルエンザの流行が始まっているので、要注意!)

「石けんで手洗い」と「加湿」が有効

「石けんで手洗い」と「加湿」が有効

今年は遅めだからといって、油断大敵。
感染予防は早めに始めたいところです。

まずは、外出先から帰ってきたあとや、食事前に手洗いをするということ。
インフルエンザは感染した人のくしゃみや咳などでうつる飛沫感染。
ですが、電車やバスの手すりや、階段やエスカレーターの手すりなど、さまざまなところにウイルスは付着している可能性があり、知らぬ間に触ってしまうことも。
ウイルスが付いた手を口に持っていけば、感染のリスクは高まります。
カラダに取り込まないためにも、まめに手は洗っておきましょう。アルコールなどによる手指消毒も有効です。
また、空気が乾燥すると、喉の粘膜も乾きがちになってバリア機能が下がるため、室内の湿度は50~60%程度に保つことも大切です。

マスクは「うつさないため」と心得て

マスクは「うつさないため」と心得て

一方、感染したくないからと、マスクをしている人も多く見かけます。
しかし、じつはこれは誤解。
マスクをした群としなかった群での感染の状態を比較した研究がいくつかありますが、いずれもマスクだけでは感染が防げなかったことが分かっています。

では、なぜマスクをするか。それは「他人にうつさないため」です。
昨今、「咳エチケット」という言葉が使われますが、ウイルスを含んだ飛沫が飛び散らないよう、マスクをするのです。
マスクがない場合は、ハンカチやティッシュペーパーで口を覆いましょう。
それもない場合は…海外で推奨されているのが、「洋服の袖口で覆う」という方法。
これに対して、くしゃみや咳を手で覆うというのは、一見良さそうに思えますが、手にウイルスが付着して、それを周囲に広げてしまう恐れがあるので、NGです。

ワクチンは12月中旬までに接種を

もうひとつ、インフルエンザ予防に有効なのが、“予防接種”です。
今シーズンは、厚生労働省によると、ワクチンの12月中旬の見込み供給量は2660万本。
13歳以上の人は、原則、1回接種になっています。
ワクチンを接種しても、100%感染を防ぐことはできませんが、症状を軽くとどめることはできると言われています。

また糖尿病などの持病がある人は、その持病の悪化を防いだり、心筋梗塞や脳梗塞といった病気の発症を予防したりという効果も知られています。
ワクチン接種によって抗体ができるのは、接種後1~2週間後。流行が遅いとはいえ、12月中旬までには接種を終えたいところですね。
そして、インフルエンザにかかったかなと思ったら、早めに受診を。

インフルエンザに漢方薬も

自律神経の乱れには漢方薬が効果的な場合も

治療では、抗インフルエンザウイルス薬や、症状を和らげる対症療法の治療が中心となります。そのほかに、患者さんの症状や体質に合わせて漢方薬も使われることがあります。
漢方に詳しい医師、薬剤師に相談してみてください。

もし、感染が分かったらまず自宅で安静にして、水分をしっかり補給し脱水に気を付けることが大切です。


ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

参照

厚生労働省「平成30年度 今冬のインフルエンザ総合対策について」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/influenza/

厚生労働省「インフルエンザ発生状況」
https://www.mhlw.go.jp/content/000402961.pdf

厚生労働省「インフルエンザQA」
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html

日常的なマスク着用による感染予防効果について
http://www.yoshida-pharm.com/2018/letter128/

Dec 7 2018

医療ライター・山内

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