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私の生理はふつう??…「月経過多」を詳しく解説

私の生理はふつう??…「月経過多」を詳しく解説

月経(生理)にまつわる悩みや不調は、人に相談しにくい上に、自己判断も難しい問題です。
特に、“経血量”に関しては、他人と比べることも難しく、正常な状態との区別も分かりにくいため、悩みを抱え込んでいる人も多いのではないでしょうか。

今回は薬剤師である筆者が、月経にまつわる悩みのひとつ、「月経過多」について解説します。

月経過多の基準

「月経過多」とは、経血量が異常に多い状態のことをいい、指標として一周期の経血量が140ml以上と定義されています。
その他に現れる症状として、経血にレバー状の塊が出てくることもあります。そして、経血量が多いと貧血気味となるため、立ちくらみや動悸、息切れなどを引き起こす傾向にあります。

月経過多かどうかを判断するバロメーター

月経過多かどうかを判断するバロメーター

前述したように、月経過多の目安は経血の量が140mlを超えることとされていますが、それを厳密に計測することは至難の技です。
そこで、月経過多かどうかを判断するバロメーターをいくつか紹介します。

  1. “ふつうの日用”のナプキンが1時間もたない
  2. 夜用のナプキンを、日中に使う日が一周期のうち3日以上ある
  3. レバー状の大きな塊が経血に混ざっている
  4. 以前と比べて月経期間が異常に長くなった

いずれかに思い当たる人は、経血量が多い状態であると考えられます。

年齢別にみる月経過多の原因

月経過多の原因はさまざまで、年齢によっても変わるとされています。
また、重大な病気が原因である可能性もあるので、月経過多かどうかを健康の判断基準として注視しておくことが大事です。
それでは、大まかな時期・年代ごとに、月経過多の原因になりうる病気を紹介します。

<思春期>

卵巣機能が未成熟のため、月経過多を起こすケースが多いとされています。
また、出血の凝固を助けるタンパク質を十分に作ることができない「血液凝固障害」の疑いもあります。

<20〜30代>

子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)などの婦人科疾患により、月経過多を起こすケースが多いとされています。

<更年期>

卵巣機能の低下に加え、子宮筋腫や子宮腺筋症、子宮内膜増殖症、子宮内体癌などの婦人科疾患が重なり、月経過多を起こすケースが多いとされています。

いずれにせよ、月経過多はカラダから出ているサインです。重症化する前に、一度医療機関で検査するようにしましょう。

もし月経過多を感じたら…

もし月経過多を感じたら…

月経過多の対処法は、カラダに現れている症状や、年齢などによってさまざまありますが、症状を緩和させる方法として下記のような選択肢があります。

ピル

低容量ピルを用いて、女性ホルモンのバランスを整えることがあります。
子宮内膜の厚みが減少することで、経血量が減るとされています。また、貧血や生理痛の対策にもなります。

漢方薬

漢方薬の中には、月経過多に対して、出血量の減少を促したり、その原因となるホルモンバランスの乱れを調整する働きに有効なものもあります。
ただし漢方薬は、その時の症状や体質によって処方される種類が異なってきますので、服用する際は、専門の医師や薬剤師とよく相談するようにしましょう。


月経過多の対処法として、漢方医学と西洋医学の側面からも紹介しました。
ですが、同時に行ってほしいこととして、“日々の生活の見直し”があります。
栄養バランスのとれた食事やしっかりとした睡眠、そしてカラダを冷やさないことなどに気をつけることで、自ずとカラダは本来の状態に戻って行くと考えられます。

婦人科系の症状を放置していると、不妊症につながったり、さまざまな病気の予兆だったりと良いことはありません。何事も早期の対応により軽症で済みます。
最近、経血量が多い、生理痛が重くなった、生理がなかなか終わらない、不正出血があるなどの異変を感じる人は、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/search.html

Oct 30 2019

薬剤師・大久保 愛

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