漢方ビュー通信

ストレスから身を守るためにやっておきたいこととは?

ストレスから身を守るためにやっておきたいこととは?

プレスセミナーから

2月中旬、漢方について学ぶプレスセミナーに参加。
職場のストレス、心身の症状と漢方薬」というテーマで、筑波大学大学院人間総合科学研究科の水上勝義先生がお話しくださいました。
とても興味深い内容だったので、今回はその一部をご紹介します。

ストレスを感じる人、感じない人の違いは?

ストレスを感じる人、感じない人の違いは?

何かと忙しい現代。ゆっくり休む暇もなく、仕事や家事、育児、介護に追われる人も多いのではないでしょうか。
実際、“ココロ”に不調を感じる人は年々増えているよう。患者調査を元に作成された水上先生の資料によると、医療機関にかかっている患者さんのうち、もっとも増加率が高く、患者数が多いのが「精神疾患」でした。
同じ内容、同じ量の仕事でも、ストレスを感じる人、感じない人がいます。また、なかにはそのストレスが慢性化して、“ココロ”の病気を患ってしまう人もいます。
それぞれ何が違うかというと、それは「ストレスに対する反応の違い」だそうです。
水上先生によると、一般的には、ストレス要因(職場であれば対人関係、職場環境、仕事量、仕事内容、やりがいなど)があっても、ストレス反応が起こりにくい体質状況さえつくっておけば、ストレスを感じない、あるいはあっても軽い程度で済むため、慢性化するなどの問題は起こりにくくなるとのこと。
ところが、そうした体質、状況ができていないとストレスが緩和されないため、ストレス反応として“カラダ”や“ココロ”に何らかの問題をきたすようになってしまうのだそうです。

ストレスを力に変えるのは「自己効力」

ストレスを力に変えるのは「自己効力」

では、ストレス反応が起こりにくい〝体質〟〝状況〟をつくるにはどうしたらいいでしょう。その要因については水上先生がいくつか挙げてくださいましたが、そのなかに以下のようなポイントがありました。

・健康でいること
・周囲のサポートを得ること
・「自己効力」を持つこと

健康については言うまでもなく、体調が悪いと同じ仕事でも苦痛を感じますよね。
周囲のサポートについても、自分とは違う立場、見方、技術を持つ人のアドバイスは貴重で、困りごとを相談できる環境があることは、ストレスを回避するのに役立ちます。
3番目の「自己効力」とは、課題があったときに「それは乗り越えられる、達成できる」とイメージできること。困難を乗り越える力や達成感などにつながりますし、経験を積むことで「自己効力」は向上していくそうです。
「自己効力」をつける方法については、さまざまな解説本などが出ているので、それらを参考にしてみるといいかもしれません。

それでもストレスが慢性化したら早めに対応を

一方、ストレスを慢性的に感じると、自律神経やホルモンの状態を乱し、うつ病や不安障害、適応障害、依存症などの問題が起こることもあります。不調をこじらせないためにも、“カラダ”や“ココロ”のSOSを感じたら、環境を変えるゆっくり休む医療機関に相談するといった方法で対応することが大事です。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

Mar 10 2017

医療ライター・山内

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