乾燥の季節の厄介な咳には、漢方薬で対処も!
空気が乾燥してくると、喉がイガイガしてむせやすくなったり、一度咳が出始めると止まらなくなったり、喉からの風邪を引きやすくなったりと、喉の不調を感じる機会が増えてきます。
喉が弱い人は、特に困る季節ではないでしょうか。
また、咳を無理やり止めることは難しいので、コロナウイルスやさまざまな感染症が気になる今の時代では、周囲に不快感を与えてしまうので厄介な存在でもあります。
そこで、今回は薬剤師である筆者が、喉の不調について解説します。
冷えや乾燥が気になりだしたら喉のケアに意識を
私たちが無意識のうちに行っている呼吸──、じつは1日に約2万リットルもの空気を吸い込んでいるそうですが、その空気中にはウイルスや細菌、カビ、大気汚染物質などさまざまな異物が浮遊しています。
それらの異物を体内まで届かないように防御する機能が、咽喉や気道、肺までの内壁を覆う粘膜と線毛です。
ところが、粘膜や線毛は冷えや乾燥に弱いという特徴があります。
体調に自信がないときは、外出時はマフラーをしたり、就寝時は首にタオルを巻いたり、加湿器を使用して喉のバリア機能を低下させないようにしたりすることなどのケアが必要になります。
この時期の風邪対策としては、喉を冷やさない・乾燥させないようにするといったシンプルな心がけが非常に効果を発揮します。
咳や痰はカラダの防御反応
もともと、咳は外からの異物に対する防御反応で、その異物を吐き出すために起こります。また、痰は気管にある細菌やウイルスなどの異物を排出するために分泌されます。
つまり、咳や痰が出ている状態は、カラダの防御反応が正常な働きをしている、ということを覚えておきましょう。
ただし、あまりにも咳や痰が長引くようなら、何か病気が隠れている場合もあります。たかが咳や痰と思わず、気になるようなら早めの受診、治療をおすすめします。
喉の不調には漢方薬
咳の改善によく用いられる漢方薬として、「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」があります。
声が枯れてきたり、気管支炎や喘息、咽頭炎、長引く咳症状などにも役立ちます。空気が乾燥し始める今の時期には、常備させておくと安心できる漢方薬のひとつです。
また、冷えると咳や風邪のような症状が悪化するような場合には、「麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)」や「小青竜湯(しょうせいりゅうとう)」、「葛根湯(かっこんとう)」、「麻黄湯(まおうとう)」などを用いることもあります。
咳の種類だけではなく、個々の体質によって、チョイスされる漢方薬は変わってきます。長引いている咳やしつこい咳で悩んでいる人は、漢方薬に詳しい医師や薬剤師に相談して、適切な医薬品や漢方薬を処方してもらいましょう。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛