漢方ビュー通信

春は目の前。だけど、鬱々しやすいのはナゼ?

春は目の前。だけど、鬱々しやすいのはナゼ?

春の風物詩ともいえる三寒四温や春霞は、冬の終わりを告げる合図。
そこまで来ている春の訪れを、待ちに待っている人も多いと思います。
ですが、三寒四温は気候の変化が大きいせいで、自律神経が乱れやすくなります。また、春霞は、黄砂などの微粒子によって引き起こされることもあり、目や鼻などの粘膜を刺激してしまうことも。
そのため、春には気分の落ち込みや、やる気喪失、カラダの重だるさ、ほてり、睡眠障害などココロやカラダに関わる不調が現れやすくなるようです。

さらに、春には年度末、新年度といった生活環境の変化を伴うこともあります。人間関係や生活環境の変化も、私たちの自律神経を乱してしまう要因なので、ストレス発散と称して、つい不摂生(夜更かし、過眠、寝酒、偏食など)をしがちなのも否めません。

一年を通して健康に過ごすには、このような気候の変化や環境の変化に対して柔軟に適応して行く必要があります。
そこで、今回は薬剤師である筆者が、春の鬱々としたココロとカラダを整える方法を解説します。

なぜ季節の移り変わりは体調を崩しやすいの?

冬から春へと移り変わるとき、はっきりとした境界線があるわけではありません。
冬のような寒い天気と春のポカポカした天気を繰り返しながら、ジグザグとした気温グラフの振れ幅が春へむかって上昇し、徐々に季節が切り替わっていきます。
そして、このとき、気圧の低下に伴い強い風が発生し、花粉や黄砂などの小さい粒子を空中に舞い上がらせます。また、太陽の位置は徐々に高くなっていきますが、3月末(春分の日頃)までは、冬型の気圧配置となっています。

これら一連の気候の変化が、カラダに負荷をかけている原因です。
激しい寒暖差や気圧の変化による自律神経の乱れ、黄砂や花粉による免疫機能の異常、日照時間が短いことによるココロの不調や骨密度の低下といった症状が出やすくなると考えられます。

さて、私たちのカラダには、外界が大きく変化しようともカラダの状態を一定に保とうとする機能「ホメオスタシス(生体恒常性)」が備わっています。ここで、特に酷使されるのが自律神経です。
自律神経は、精神的なストレスが多いと乱れる印象が強いと思いますが、気候の変化による肉体的なストレスも自律神経を乱す原因となります。また、人間関係や生活環境の変化による精神的ストレスも重なり、自律神経が乱れやすくなってしまいます。
その結果として、長いケースだと5月くらいまで鬱々とした気分から抜け出せずにいる人が増えているようです。

自律神経を乱したときに感じやすい症状

自律神経が乱れると、どのような症状を感じやすくなるのか以下に挙げてみます。

気分が落ち込む
不安感や緊張感が強くなる
怒りっぽくなる
やる気がなくなる
吐き気が起こる
手足の汗やしびれを感じる
動悸を感じる
めまいや耳鳴りが起こる
頭痛や肩こりが悪化する
睡眠障害をきたす

いかがでしょうか。少しでも当てはまる症状がある場合は注意しておきましょう。心配であれば、かかりつけ医などに相談することもよいでしょう。

春の不調を感じたら漢方薬がおすすめ

漢方入門!漢方薬の名前に隠された秘密を解説

前述した症状ですが、複数同時に起こることもあります。1つでも厄介なのに複数同時に起こってしまったら、ストレスがさらに増していき、不調もどんどん根深くなってしまうでしょう。

そのようなとき、助けになってくれるのが漢方薬です。
西洋医学では、基本的に血液検査や画像診断など可視化できるデータをもとに処方を決定しますが、漢方医学では体感する不調を細かくヒアリングすることで処方を決定していきます。
(「四診」という独自の診断をすることが特徴 詳しくは「漢方の基礎知識/私に合う漢方薬の見つけ方」をご覧ください)
そのため、目に見える病変がない、病名がつけられないような症状が多い自律神経の乱れに対しては、漢方薬を活用した治療方法の相性が良いのです。

もし、気分がすぐれない、何か対処したいけどどうしたらよいかわからないと悩んだときには、漢方という選択肢を思い出してみてください。そのときには、漢方に詳しい医師や薬剤師に相談して、自分の体質と症状にあった漢方薬を服用するようにしましょう。

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Feb 28 2023

薬剤師・大久保 愛

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