放っておくと不妊症の恐れも!急増中の「PCOS」って?
生理がなかなか来ない、または不定期なんてことはありませんか。日々の生活に追われ、とりあえず放置している人は多いかもしれませんが、じつはホルモンの異常や排卵障害に原因があるケースも…。
今回は、薬剤師である筆者が、生理不順や不妊の原因となる「多嚢胞性(たのうほうせい)卵巣症候群(PCOS)」について解説したいと思います。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)とは?
多嚢胞性(たのうほうせい)卵巣症候群とは、最近とても増えている婦人科の病気の一つです。
卵胞の成長が遅く排卵されにくいことから、卵巣に成長した卵胞が複数溜まっている状態で、無排卵月経や生理不順、不妊症になりやすくなります。原因は、未だにはっきりと解明されていませんが、内分泌や糖代謝(※)の異常ではないかと考えられています。
※食事などで摂取した糖分がブドウ糖に変わり、エネルギー源となります。そして、血液によって全身に運ばれていきますが、その際に余ったエネルギーは肝臓や筋肉などで貯蓄されます。貯蓄されたエネルギーはインスリンによって管理され、血糖値が保たれています。この流れを糖代謝と呼びます。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)と診断されたら…
病院では、排卵誘発の内服薬の服用や注射、ステロイド、または糖尿病と同じ内服薬を服用することもあります。原因がはっきりと解明されていないため、体質と診断されることも。
妊娠を望む場合は、体外受精をすすめられることもあります。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を改善するには?
多嚢胞性卵巣症候群は上記のように、体質が影響していることも考えられるため完治しにくいと言われています。しかし、診断を受けたからといってただ日々過ごしているのも不安になりますよね。
まずは、普段の食事を見直してみることをおすすめします。
インスリンの過剰分泌は、男性ホルモンの分泌を増やし卵胞の発育を遅らせてしまうため、血糖値の急上昇を控える食事がおすすめです。
食事について
血糖値の急上昇を促す「小麦」を控えます。さらにできることなら、お米を「玄米」に変更することをおすすめします。また、食物繊維の摂取も大事ですが、その際、野菜だけではなく海藻からの摂取も忘れないようにしましょう。タンパク質も大事です。
油や、砂糖、みりんはできるだけ控えめにしてみましょう。
おやつについて
ガムやアメも含め、お菓子は少し控えましょう。果物を摂る場合は、血糖値が緩やかに上昇するといわれている柑橘系やキウイ、イチゴ、ブルーベリーやリンゴなどがおすすめです。
飲み物について
甘い飲み物は控えましょう。もちろんアルコールも控えたいですが、どうしてもというときは「蒸留酒」を選ぶようにしましょう。蒸留酒とは、焼酎、ウイスキー、ブランデーなどです。その他に糖質ゼロの発泡酒や辛口のワインもおすすめです。
妊娠を考えている人には全般的に気をつけていただきたいことです。多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、現代女性に増加傾向にあります。診断された方でも、あきらめずにできることから一つずつ改善してみましょうね。
薬剤師・大久保 愛