生理前のイライラ、解決策は?
PMS(月経前症候群・生理前症候群)という言葉をご存知でしょうか?
PMSとは、女性の生理周期で生理が始まる1週間前辺りに起こりやすいさまざまな不快症状のことを指します。人によって症状は多岐に渡り、その重さも全く異なります。
そんな中、漢方カウンセリングをしているとよくお悩みのひとつで聞くのが「生理前のイライラ」。
家族や恋人に当たってしまったり、仕事に支障をきたしてしまうなど、日常生活に影響を及ぼしてしまうことが多いとされます。
そこで、今回はそんなツライ症状をどのようにしたら改善できるのか、漢方薬剤師がお伝えします。
なぜPMSは起こるの?
じつは、西洋医学でPMSのはっきりとした原因は解明されていません。
そもそもPMSは、2つのホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)のバランスが乱れることによって起こると考えられていますが、ホルモンバランスが変化するのは女性なら当たり前のことであり、どう変化すると不快な症状が起こってくるのか、その他の要因が重なって起こっているのか、そのあたりのことがまだ分かっていないのです。
したがって治療方法も確立されておらず、生活習慣の改善や抗うつ薬(SSRI)、ホルモン剤の内服など、いまだに試行錯誤が繰り返されています。
ホルモンバランスが乱れる原因として、食生活や睡眠の乱れ、ストレスなど、日々のライフスタイルが影響することが多いとされます。
特に、生理前のイライラの原因としては、仕事や人間関係のストレスが関連することも多く、我慢強い人や責任感の強い人に現れやすい傾向があります。
漢方医学では、生理前のイライラの原因は、「気滞(きたい)」という気の流れが停滞することで起こると考えられています。
本来であればカラダの中をスムーズに巡っている「気(き)」ですが、停滞してしまうことでイライラや不安感などの精神症状を生む場合があります。
それに伴って増えてくるのが、過食によるストレス発散です。ついつい間食が増えたり、ドカ食い(大食い)してしまうという悩みを現場でよく耳にします。
生理前のイライラ解消法
生理前のイライラ、すなわち「気滞」を解消するために、まず大切なのは日々の生活習慣を見直すことと、ストレス対策をすることです。
生活習慣において気をつけたいのは「食事・運動・睡眠」の三本柱。
これはPMSだけでなく、毎日を健やかに過ごすためには必要不可欠な要素です。
また、ストレス解消をこまめにすることも大事です。
気滞になりやすい人の特徴として、我慢をしがちだったり、自分を抑え込みやすかったり、言いたいことが言えないようなタイプの人が多いような気がします。
空気を読みすぎてしまう人や責任感が強くなんでも引き受けてしまうような人は、たまには思い切ってワガママを言ってみたり、本心を伝えてみたり、仕事が大変なときは誰かに手伝いをお願いしてみたり…自分の「ココロ」を大切にする習慣をつけてみるといいかもしれません。
そして「気滞」を発散するのにおすすめの養生法は、自分の好きなスポーツや運動をすること。
カラダを実際に動かすことは「気」の巡りをよくすることに繋がります。そして自分の好きなことでストレス解消をすることもとても効果的です。
「最近カラダを動かしてないなぁ」という人は、軽いストレッチでもいいので、ぜひ試してみてください。
PMSの諸症状に用いられる漢方薬
PMSの諸症状に用いられる漢方薬のひとつに「加味逍遙散(かみしょうようさん)」があります。
漢方では「血の道症」といって、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状を指しますが、PMSの症状もまさにこれに当てはまります。
自律神経やホルモンバランスの乱れ、特に交感神経が高ぶった状態を抑制し、精神的な安定や睡眠の状態を改善する働きに期待できます。
また、「血(けつ)」の巡りもスムーズにするため、女性のさまざまな悩み解決の手助けにもなってくれるでしょう。
漢方薬は専門家による判断がとても大切です。
PMSや女性特有の悩みが長く続いているような場合は、漢方に詳しい医師や薬剤師に、一度ご相談ください。
ご存じですか?
医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・森田博美