今さら聞けない…「免疫力が高い」とは?
「免疫力」という言葉を、ここまで高頻度で耳にするようになったのは最近のこと。
新型コロナウイルスが流行し、自己防衛システムの強化の必要性を多くの人が感じたのだと思います。
巷では、ビタミンDを摂り入れましょう、腸内環境を整えましょう、睡眠の質を上げましょう──など、免疫力を高めるためのさまざまな方法が話題になっています。
では、ここでひとつ質問です。
一般的にいわれる「免疫力が高い」とは、一体どういった状態なのかご存知でしょうか?
ハッキリと答えられないという人もいるかと思います。
そこで今回は、薬剤師である筆者が、この「免疫力」について詳しく解説します。
免疫とは、健康を維持する自己防衛システム
免疫とは、自分の細胞とそれ以外のものを認識して、自分の細胞ではないものを排除して病気からカラダを守り、健康を維持する自己防衛システムのことです。
そしてこの免疫は、細かく分類すると非常にたくさんありますが、大まかには「自然免疫」と「獲得免疫」に分けられます。
ちなみに、ワクチンの話題もよく耳にしますが、ワクチンは「獲得免疫」の強化につながるものです。
それでは、この2つの免疫について簡単に説明します。
自然免疫は生まれつき備わっているもので、病原体が体内に入ってきたらすぐに攻撃を開始します。そして、獲得免疫は、自然免疫が排除できなかった病原体に対して攻撃を行います。
自然免疫として代表的なものに、マクロファージやNK細胞、好中球、マスト細胞があります。また、獲得免疫には、樹状細胞やT細胞、B細胞などがあります。
免疫の仕組みについては、漢方ビュー通信「免疫力を上げるために、腸の健康を優先しよう!」でも解説していますので、ぜひご覧ください。
免疫が高い状態とは?
免疫が働く際に、主要なものとして、白血球の一種である顆粒球とリンパ球があります。
それぞれ、顆粒球は大きな異物を撃退するもの、リンパ球は顆粒球で撃退できなかった小さな異物を撃退する働きがあります。
これら両方がバランスよく働いているときが、“免疫が高い状態”といえます。具体的には、白血球内で顆粒球が55〜60%、リンパ球が35〜41%ほどの状態が最も病気にかかりにくい状態とされています。
そして、この比率をコントロールしているのが自律神経です。
そのため、精神的なストレスが多いときや、気候・環境の変化による肉体的なストレスが多いときなどに自律神経が乱れやすいので、免疫が低下する傾向にあります。
免疫力を高めるには規則正しい生活を
免疫力を高める簡単な方法は、規則正しい生活習慣を送ることです。
そのためには、まず自分の今のカラダの状態を把握しておくことが大切です。なぜなら、自分に合っている食事や運動、ストレス環境、睡眠時間などには個人差があるからです。
この自分のカラダの状態を把握する一つの指標として排泄物がありますが、中でも一番わかりやすいのが便の状態です。というのも、外敵と戦う時には分泌物が増えたり、雑菌が繁殖して粘性や色、匂いなどに変化が起こるからです。
さらに、便の状態は生活習慣とリンクしているので、昨日食べたもの、ストレスなど自分にとってネガティブな影響を与えるものを把握しやすい面があります。
便の状態は、人と比べることは難しいので、前日の自分のものと比較するのが簡単です。
比べてみて、便が硬い、柔らかい、べとつく、黒い、クサイなどがあれば何か改善すべきポイントがあることを表します。自分にとって思い当たる行動があったら、一つずつそれらを改めていくことが免疫強化に役立ちます。
ただし、精神的なストレスだけはどうしてもコントロールしがたいもの。
間接的な方法ではありますが、免疫向上のために自律神経を整えることを得意とする漢方薬を活用することもおすすめです。体調を崩しやすい今の時期に試してみてもいいかもしれませんので、気になる人は、一度、専門の医師や薬剤師に相談してみましょう。
いかがでしたか?
“免疫が高い”ということは、心身ともに健康である状態ということになります。
これからの季節は、コロナウイルスに加えてインフルエンザにも気をつける時期です。自身の生活習慣を見つめ直し、免疫力をアップして健康的に乗り切れるようにしましょうね。
こちらも参考に!
漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介
https://www.kampo-view.com/clinic薬剤師・大久保 愛