漢方ビュー通信

むくみは水分バランスの乱れ、まずはセルフケアそして漢方薬

むくみは水分バランスの乱れ、まずはセルフケアそして漢方薬

水(すい)がカラダに偏在することで起こる水毒

朝起きると、まぶたが重たい。夕方になると、靴がきつくなる。飲み過ぎた翌日、体重が増えている――。
私たちのカラダの55~60%を占めている水分(子どもや高齢者では、その割合が少し変わります)。それが少し増えすぎたり、カラダの一部に溜まったりすることで生じるのがむくみ(浮腫)です。
漢方では、健康のバロメーターである「気・血・水(き・けつ・すい)」のひとつ、「水」がカラダに偏在することで起こる「水毒(すいどく)」で現れる症状とされています。

水毒ではむくむだけでなく、頭が痛い、鼻水が出る、気持ち悪くなる、めまいがする、下痢っぽい、カラダが重だるいという症状も現れます。天気の影響を受けやすく、気圧が変わると体調が悪くなるという人も水毒が関係しているといわれています。 (※)

※…インタビュー「天気で体調が悪くなる」は気のせいじゃない 〜気象病・天気痛とは〜 佐藤純先生

「舌」で水分の摂りすぎかをチェック

水分は、私たちのカラダを構成する細胞に必要な成分です。
だからこそ、水毒を改善するには、「自分にとって適切な水分量」を覚え、「不要な水分をしっかり外に排出する力をつける」ためのケア、取り組みが大事になります。

まず、適切な水分量についてですが、一般的には「1日○リットル摂るといい」といった記述もありますが、体格差もありますし、やはり必要な水分量は人によって異なります。
そこで、自分が水分を摂り過ぎているかどうか、常にチェックをしてみるといいかもしれません。方法は簡単で、「鏡の前であっかんべーをして、舌を見る」だけです。(漢方ビュー通信:「朝は鏡の前であっかんべー?舌でわかる健康状態」)
ご自身の舌がぷっくらしていて、脇に歯形(歯痕:しこん)がある場合は、水分の摂り過ぎが考えられます。

「冷えの解消」と「下半身の運動」が大事

余計な水分を排出する力をつけるケアのひとつは、「冷えの解消」です。
カラダが冷えると水の循環がうまくいかなくなります。胃腸や腎臓の働きが弱くなるため、水を排出する力が落ちてしまうのです。
そこでお腹周りを中心に冷やさない工夫が大事です。
お腹を出すような洋服を避けたり、冷たい飲み物を摂りすぎたりしないように注意しましょう。また、水分を摂るときは一度にたくさんではなく、こまめにちょこちょこと水を飲むとよいようです。

それから、適度な運動も大事です。
立ちっぱなしでずっといるなど、カラダを動かないでじっとしていると下半身がだんだんむくんできます。これは体内の水分が重力に沿って下に溜まっていくためです。
これを解消するには、筋肉のポンプ機能でカラダの水分を心臓に戻すことが必要になります。そのためには下肢を動かすことが大事です。ウォーキングや軽いランニング、かかとの上げ下げ運動、足首回し運動、足指じゃんけんなどがおすすめです。

お風呂習慣の効果+むくみを改善する漢方薬

お風呂習慣の効果+むくみを改善する漢方薬

お風呂(入浴)習慣も有効です。
湯船に浸かると、お湯の水圧でマッサージ効果が得られてむくみが解消されます。ほかにも、水と湯のシャワーを交互に当てると血行が促されるので、お風呂上がりのタイミングで試してみてはいかがでしょう。

そして、むくみを改善する漢方薬もあります。
代表的なのは「五苓散(ごれいさん)」ですが、そのほかにも「防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)」、「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」、「柴苓湯(さいれいとう)」などがあり、個々の体質や体調によって処方されます。
なお、むくみは心臓や腎臓の病気などで起こることもありますので、軽視できません。気になる人は一度、病院で診てもらうことをおすすめします。

参照

健康長寿ネット
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shokuhin-seibun/water.html

千葉県医師会
https://www.chiba.med.or.jp/general/millennium/pdf/millennium41_5.pdf

ご存じですか?

医療用漢方製剤はお近くの医療機関で処方してもらうこともできます。
ご自身の症状で気になることがありましたら、一度かかりつけ医にご相談ください。
(すべての医師が漢方独自の診療方法を行うとは限りません。一般的な診療だけで終える場合もあります。)

こちらも参考に!

漢方に詳しい病院・医師検索サイト紹介

https://www.kampo-view.com/clinic
Oct 20 2023

医療ライター・山内

関連コンテンツ